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▼ G22後の新しい破局

●煮え切らないG7、G22

 シンガポールの「ビジネス・タイムズ」紙は98年4月23日、前週に行われたG7、G22の会議について社説を載せたが、それはこの二つの会議を完璧に要約した内容となっている。 「東南アジア経済の混乱は、世界金融システムの土台が脆弱であることを示している。そして、この混乱により、今回の会議では、将来の危機を防ぎ抑えるための組織を作ろうという健全な議論が行われた。しかし、皮肉なことに、こうした議論が行われ始めた現在、各国政府は無責任な態度を取り、金融市場先行きも不明で、新しい機関を作る状況では全くない。ルービン財務長官は民間投資家に関して、見通しの甘さから出た損失については少なくとも部分的に支払わせようとしている。その考え方は正しいのだが、そのための適切で有効な機関を誰も考案できないでいる。

 4月16日の会議から一つの問題が浮上してきた。それは世界の通貨改革を妨げるものが多く、新しい構造がどれほど斬新に見えようとも、それを実際に作り出す下地はまだできていないということである。アイデアは山とある。しかし、必要なことを実行していく意志が欠けている。」

 G7、G22には意志が欠けている。つまり、主要各国には新しい「世界金融構造」を作ろうという意志がなく、それゆえ世界は急速に金融恐慌、「新暗黒時代」に突入しつつあるのだ。

 マレーシアのアンワル副首相も4月18日、ニューヨークで同じ警告を発した。彼は、世界銀行・IMF発展途上国委員会の新しい委員長に選出された。その彼が、国連・経済社会委員会における会議で警告を発したのである。 「金融危機により、アジアは数ヶ月で天国から地獄への落下を経験しました。危機の責任を各国政府に押し付けるのは、不公正であり誤りです。世界の金融システムは国際資本市場の行方を推測できない状況にあり、各国通貨システムも脆弱です。こうした基本的状況がすぐに是正されないなら、世界はますます厳しい金融崩壊へと突き進んでいくでしょう。」

 アンワル副首相はこの演説を行う前日、ルービン財務長官と45分間の会談を行っている。

●ルービンの主張

 アンワル副首相の演説に、ルービン財務長官が影響を与えていることは明らかである。

 98年4月16日にマディソンホテルで開催されたG22の参加者は、会議の模様を伝えてきた。それによれば、会議の席上、ルービンは次のように述べたという。 「『アジア危機』は、あらゆる国家を巻き込む世界システム危機の現れだ。民間銀行救済のために1セントたりとも使うつもりはない。」

 この「1セントたりとも使うつもりはない」という言葉は、彼が97年12月24日に初めて使い、その後もジョージタウン大学の演説で繰り返した言葉である。

 参加者の話では、ルービンは一連の具体的提案を行った。彼は収支の釣り合わないデリバティブ、その他の債権の隠された危険について強調し、それらを完全に開示しないことには、いかなる新金融構造もあり得ないと述べた。世界金融不安の大きな一因として、ルービンがデリバティブを挙げたことは重要である。デリバティブ・バブルは140兆ドルに上り、ハイパー・インフレを伴う銀行救済という愚案すら出てきているのだ。

 ルービンの言葉の中で最も影響力を持っているのは、彼がヘッジ・ファンド、その他の通貨取引者を攻撃したことである。こうしたヘッジ・ファンドこそ、97年2月以来の「アジア通貨危機」を引き起こした張本人である。

 ルービン、そしてアジアの指導者たちが固定相場制への移行を議題に挙げたが、それは真剣に討議されることはなく、合意も得られなかった。

 ルービンの主張を要約すればこうである。 「銀行の救済方法はなく、それゆえ大手金融機関、あるいは世界の国家経済を一旦壊し、それを再編する準備が必要だ。金融市場がグローバルになったことにより、世界経済における主権国家の役割は危険なほど減少している。だから、崩壊による再編準備が必要だ。それは各国が協力して行っていくべきものであり、何らかの超・銀行機関が行うべきものではない。これまでの金融構造は不公正であり、特定の国家だけが利益を得、他の国々は苦難を強いられてきた。21世紀の『新金融構造』は『より公正な国際経済秩序』に基づくべきである。」

 ルービンの考え方について、G22に参加したヨーロッパ、そして何人かのアジアの参加者は「真剣に考慮するための現実的枠組みが設定されていない」と不満を述べた。

 ヨーロッパの参加者は、G22について次のように述べた。 「1995年のメキシコ危機、97年のアジア危機に対するIMFの措置は誤りだったことが、今回の大きな話題でした。」

●イギリス代表団の妨害

 G7、G22の会議に出席したアメリカ官僚は、イギリス代表団の妨害について憤慨して語った。

 投機家の動きを規制し、通貨取引を監視しようという議論に、イギリス代表団は決まって口を挟んだ。IMFも4月半ば、アジア通貨危機におけるヘッジ・ファンドの責任を全く無視した報告書を出した。「アジア危機を引き起こしたのは投機家である」というルービンの言葉には、日本やASEANが同調した。ドイツ・フランスについて言えば、彼らは同調はするが「新金融構造」創設には言葉を濁している。彼らは99年1月のユーロ発足まで、いかなる議論もしないつもりらしい。

 G22は有益な会議になる筈だった。しかし実際には、それは現実味を欠いた。その理由は、その提案方法のまずさにあった。現在の危機を研究するために、三つの機関が設立された。しかし、そのどれもが、10月になって初めて研究結果を発表する予定である。

 10月以前に、世界の金融崩壊はいくつかの局面を迎えるだろう。そして、世界中の何百万人もの人々が苦しみ、死ぬであろう。

 実際、ワシントンでG7、IMF年度中間会議、G22と言った会議が開かれた数日後、新たな市場崩壊の兆しが取り沙汰された。しかし、今回の話題は、株式市場が現在「理由なき活況」を呈している欧米なのである。

●アメリカのバブル経済

 ロンドンの「エコノミスト」誌は4月18日、「アメリカのバブル経済」と題する3ページの記事を載せ、次のように述べている。 「今週、IMF・世界銀行の会議が開かれ、そこでは日本の不況、および東アジア金融危機の予防について話し合われた。しかし現在、特にアメリカで資産インフレが起きており、それが世界経済により大きく差し迫った問題を醸し出している。」

 「ファイナンシャル・タイムズ」紙も4月22日、次のような記事を載せた。 「深刻なのは日本の銀行システムが抱える危機だけではない。欧米株式市場の過熱バブルも不安材料である。世界経済は現在非常に脆弱な状況にあり、このようなバブルはもはや『持ちこたえられない』状況である。」

 ロンドン筋は、7月のウォール・ストリートの大暴落を予測しているという。既にボーイングのようなアメリカ大企業は、四半期利益を大幅に落としている。その理由は、アジアからキャンセルが相次いだためである。アメリカ商務省が4月20日に発表したデータによれば、アジア主要8ヶ国に対するアメリカの輸出は、今年1〜2月、22パーセント減少し、インドネシアとの貿易は64.2パーセントも減少したのである。

 ロンドン筋は4月22日、次のように語った。 「この2週間、アメリカ市場では大きな移動がありました。金融市場における話題は、現在、連銀が近い将来金利を『上げるかどうか』ではなく、『いつ上げるか』ということに移っています。そして、金利引き上げが行われたら最後、94年2月の国債市場で起きたよりも遥かに深刻な状況が世界を覆うでしょう。アメリカの貿易赤字は現在1300億ドルの記録的数字に上っており、その額は毎年30パーセント以上上昇しています。市場が最終的に崩壊すれば、少なくとも数兆ドルの価値がすぐに失われるでしょう。」

 東南アジアでは、金融危機により飢餓が起こりつつある。特にインドネシア、マレーシアの通貨崩壊により、食料不足・社会不安が起きつつある。東欧ではエイズが蔓延しており、その理由の一つに麻薬の使用が挙げられている。こうした状況では、新たな金融構造の必要性がますます緊急のものとなっている。

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