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▼バルカンから中央アジアに至る“ネタニヤフ戦争”の構図


●ロンドンが企てる“ネタニヤフ戦争”

 1998年10月上旬、シリアがクルド人テロリストをかくまっているということを理由に、トルコがシリアを侵略するかもしれない脅威が突然高まり始めたが、これは、ロンドンと、その傀儡国家であるネタニヤフ首相のイスラエルが、バルカン諸国から中央アジアに至る地域を戦争に突入させるために、どのように動いているかということを示している。
 イスラエルによるパレスチナ人の大量虐殺、次にイスラエル・シリア戦争とイラン・アフガニスタン戦争、そしてそれを中央アジアとパキスタンに波及させる、ということも計画に入っている。

 コソボを巡るセルビアとアルバニアの戦争と、アメリカの率いる国連がイラクに新たに急襲を仕掛ける計画も進んでいるし、ウガンダが指揮をとって新たにスーダンに急襲をかけることも、すでに始まっている。
 ロンドンは、地域的な達成目標をいくつか有しているが、これらの戦争を起こす目的は、その世界的な効果である。

 そのような戦争、特に、噂によればすでに歯止めがきかなくなっているという核武装したイスラエルと、アラブ諸国の戦争は、アメリカ大統領の力を圧倒し、大統領が世界的な財政危機に対処する力を失わせると、ロンドンは信じている。
 また、ロンドンは、アメリカ、ロシア、中国が協力し合う可能性を完全に潰すために、その戦争を利用したいと思っている。
 なぜなら、これらの国が協力し合わなければ、そのような新しい経済システムは作られる可能性が少なくなるからである。例えば、コソボ戦争はアメリカとロシアを対立する側に置いている。

 ロンドンは、ネタニヤフのイスラエルにとっては、特別な役割を持っている。それは、イスラエルの軍隊は、これらの戦争全部に直接関わるわけではないが、ロンドンは事実上すべてに役割を演じるということである。
 そして、イスラエルが関われば、ロンドンではなくてアメリカが罪をかぶって非難されることになる。アメリカは数十年にわたってイスラエルに資金を出しており、国連でイスラエルの方針を支持しているので、そうなることは間違いない。
 さらに、シオニストのロビイストの影響力は、モニカ・ルウィンスキーのスキャンダル以来急上昇しているので、その影響力を使えば、アメリカが、ロンドンの新しい戦争に敵対する動きをするのを阻止することができる。また、アメリカが自国の利益のために動くのを阻止することもできる。


●イスラエルはトルコをシリアと争っている

 1998年10月9日、トルコ軍がシリアの国境に終結した。月初めに始まった突然の増強だった。
 10月3日には、トルコの参謀総長フセイン・キブリコグルは、次のように説明していた。

「シリアがテロリスト集団クルディスタン労働者党(PKK)をかくまっているために、我々とシリアの間で、“宣戦布告なしの戦争状態”となっている。PKKはトルコ南東部で反乱を起こしてきたが、1984年以来、2万人以上の人を殺している。」

 そして、「我々は忍耐強くあろうとしてきたが、それにも限界がある」と付け加えた。
 それと同時に、10月3日には、1万人のトルコ軍が、PKKキャンプの施設の調査と破壊のために、イラクを侵略している。
 10月4日には、トルコの首相メスート・ユルマズが、党の国会議員の会合で、「トルコはシリアに“最後の警告”を与えた」と語った。

 エジプト大統領ホスニ・ムバラクは、危機を目前にして、最後の調停をするために、10月5日から6日にかけて、ダマスカスに飛び、その後アンカラに飛んだ。
 しかし、トルコはすでにシリアに対し、「シリアがダマスカスに住んでいるPKKのリーダー、アブダッラー・オチャランを引き渡し、さらにシリア国内と、シリアが操っているレバノンにあるPKKキャンプを閉鎖しないなら、外交的解決は不可能である」という通告をしていた。

 シリアの与党の新聞『アルバース』は、「トルコの脅威は、“アンカラとテルアビブが同盟を結んでいることによって、両国が完全に協調して動いている”ことの表れである。それは、アラブ連盟がトルコを非難しているのに加えて、最近隣国のイランとイラクも、トルコを非難しているのと平行する現象である」と批判した。
 ギリシャとキプロス、特にロシアもそのことに対する関心を表明し、「1990年代半ばから取り決められているトルコとイスラエルの軍事協定は、その2ヶ国に東地中海を共同で支配させるという、アメリカとNATOのプランを反映している」と述べた。

 ネタニヤフは、先月「トルコとイスラエルは“軸”であり続ける」と挑発的に宣言していたが、その言葉通り、10月4日「イスラエルはその危機には関係しない」と主張した。
「我々は、これを我々の有利になるように利用したり、シリアとイスラエルの国境の現状を変えたりするつもりはないことを、シリアに安心させるための措置を取った。」
と語った。

 しかし、トルコは、それがあるために、イスラエルの戦争を戦わねばならないという、イスラエルの罠にはまっているように見える。
 また、トルコが反応しているのは、シリアの新たな非道行為に対して反応しているのはなくて、「シオニスト・ロビイストたちが、アメリカ国務省に圧力をかけて、アメリカが、イラクに再び“連邦の解決策”を押しつける意思があることを、発表させるのに成功した」ことに反応しているのだ、ということを示す兆候もある。
 “連邦の解決策”というのは、イラク国内のトルコとの国境に、事実上のクルド人の国家を作るということである。その区域がPKKの基地として使われていることをトルコは知っているわけだが、その区域を切り取って、事実上の国家を作るという意味である。

 9月半ば、この計画のために、アメリカ国務省は、イラクのクルド人リーダー、ムサド・バルザニとジャラル・タラバニをワシントンに呼んだ。
 この2人のリーダーは対立関係にあったが、国連の後押しで1999年7月に決まったクルドの選挙のために、一緒に活動することを誓わせた。その選挙によって、新しい疑似国家を作るということである。
 バルザニの味方のPKKは、ロンドンからのPKKのテレビ放送でそれを強調し、その合意に効果的に協力した。
 トルコの副首相ビュレント・エジェビットはその談合を即座に非難し、「それはイラクの事実上の分離を強める。トルコはそういう変化を認めることはできない」と発言した。
 アメリカがその構想を1997年2月に提案した時には、エジェビットはワシントンを“イギリスが操っている”せいだと非難していた。

 国務省が2人を呼んだ1ヶ月前の7月29日、アメリカユダヤ人会議の元ワシントン・ロビイスト、モリス・アミタイの息子、マイク・アミタイがリーダーとなっているワシントン・クルディッシュ・インスティチュートが後援して、クルド紛争に関する会議が開かれた。
 会議では、PKKのトップリーダー、著名な元アメリカ諜報機関員、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)のシンクタンクであるワシントン近東政策研究所の職員が、ざっくばらんに意見を交わした。
 国務省でクルド政策を担当している、国務次官補近東担当マーティン・インダイクは、そのシンクタンクの元リーダーである。


●イスラエルはイラン・タリバン戦争を推進している

 その間、中央アジアでは、27万のイラン軍が、アフガニスタンとの国境に終結した状態が続いていた。訓練のためだと発表されていたが、それは、タリバン体制が、イランの外交官9人を殺したことを認めた後のことであった。
 10月2日には、イランの戦闘機数十機が、国境沿いの想像上の標的に爆撃を加えた。タリバンは、飛行機がアフガニスタンの領空に入って飛行していると抗議した。
 最新の報告によると、タリバン軍とイラン軍の衝突が、10月8日、国境で起こったとのことである。

 タリバンが政権について以来、ロシア、イラン、中央アジアのほとんどの共和国は、「タリバンは、アメリカ・サウジアラビア・パキスタンの共同プロジェクト」だとわめきたてて非難した。
 それは、カリフォルニア・ユニオンオイルや他の石油化学会社が行っているプロジェクトであって、中央アジアの不安定化をもたらすと主張した。
 このような理由によって、オブザーバーたちは、「イラン・アフガニスタン戦争が起こったら、アメリカとロシアの関係に新たな複雑な紛糾を生むだけでなく、アメリカとイランの関係が近い将来大いに改善される(イスラエルはそれを恐れている)ことが約束されているのに、それを破壊することになる」と協調した。

 シーア派のイランと、猛烈な反シーア派であるアフガニスタンのスンニ派タリバン体制の戦争は、イスラム世界全体に、スンニ派とシーア派の破滅的な戦争を引き起こす可能性もある。これは、イスラエルが長い間求めていた政治目標である。
 そして、サウジアラビアはスンニ派の正統派の中心であるので、イランとサウジアラビアが近い将来、和解する可能性はなくなるであろう。  この戦争は、イスラエルの標的リストの上に位置するパキスタンと、イランの戦争に発展するかもしれない。

 このような見通しに、ワシントンのシオニスト・ロビイストはよだれを垂らしている。
 国家安全保障問題ユダヤ研究所(JINSA)の所長で、アメリカのネタニヤフの代弁者のトップの一人であるトム・ノイマンは、イラン・タリバン戦争の可能性について、ユダヤの『フォワード』9月18日号の中で語っている。
「ビンの中で互いに戦っているサソリがいる。最後まで戦わせるべきだ。」

 シオニスト・ロビイストは、この線に沿って、イランをアフガニスタン、パキスタンと戦わせるために活動してきた。
 1997年以来、JINSAとAIPACは、その共同作戦部門であるイランの『民主主義のためのケネス・ティンマーマン財団』と共に、イランに対抗する新しいアメリカのプランをプッシュしてきた。
 ペンタゴンでの会議も含めた上層部会議を何度も開いた結果、このガチョウのようなうるさい一団は、民族問題を利用して、アフガニスタン、パキスタンと接するイランの東の国境で爆発を起こすことを要求してきた。
 そのターゲットの一つは、三つの国にまたがっているバルーチー族地区である。
 イラン国内の150万人の難民を利用する計画も進行中とのことである。イスラエルは、その難民の間に、イラン国内でのテロリストの反乱を起こす力を持っている。もしそれが、アフガニスタンを侵略する餌になるのであれば。


●イスラエル対パレスチナ人、イスラエル対シリア

 イスラエルとシリアの対決に続いて、イスラエルとパレスチナ人を対決させることが、イギリスの最終的なシナリオである。
 1998年10月7日、ネタニヤフとパレスチナ自治政府議長ヤセル・アラファトは、イスラエルの軍事基地で会った。
 そこで両者は、イスラエルとパレスチナの不和に橋を架け、今のところ10月15日に予定されている、来るワシントン・サミットに向けて準備をしたということである。訪問中のマデリン・オルブライト国務長官は、これを“ニュー・スピリット”と呼んだ。

 しかし、ネタニヤフは、その会談の後、「交渉における“ニュー・スピリット”は、単にパレスチナが“低めの調整”を望んだ結果にすぎない」と報道陣に語った。これが現場の現実である。
 さらに、ネタニヤフは、殺されたイスラエル首相イツハク・ラビンとアラファトの間で1993年に取り決められた協定に言及しながら、次のように語った。
「明らかにパレスチナ人は、西岸とガザ地帯の90%以上から撤退してほしいと思っている。
 しかし、“状況は明らかに変わった”。パレスチナ人が得るのは多くても40%で、それはパレスチナ人の“テロによる戦争”次第である。」

 地域問題担当者たちは、「ネタニヤフが、このようなふざけた態度で、1993年のオスロ合意を履行していないことは、アラファトを卑劣なやり方で傷つけ、その結果ネタニヤフが暗殺される状況を招く可能性があるのみならず、パレスチナの町に再びインティファーダの気分を高めた」と強調した。
 それが身近に迫っていることを示すように、10月7日に西岸の町のヘブロンで、イスラエル軍とパレスチナ人の衝突があったが、その時イスラエル軍は、デモ参加者のパレスチナ人1人を殺し、20人を負傷させた。

 ネタニヤフが、イスラエルを戦争に駆り立てていることを恐れているイスラエル人は、そのような挑発的行為が持つ軍事的意味合いを不安に思っている。
 『ハーレツ』新聞の論説委員アミール・オーレンは、近い将来の進展を予測する記事を8月に書いたが、その中で次のように警告を発している。
「和平プロセスが行われていない状況にあって、すでにイスラエル国防軍は、シリアの前線で勃発する可能性のある戦争に向けて準備をしている。」

 オーレンによれば、イスラエル国防軍の立案者は、すでに次のような結論に達しているということである。
「クリントン政権の支配力が弱まり、アメリカはネタニヤフ政府に和平プロセスを進めさせる力を失っているので、主な標的であるシリア、パレスチナ人、エジプトとの戦争は起こり得るであろう。」
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