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●ロサンゼルス研究所の経緯
カリフォルニア州のモンタレー海軍大学で教えている、民間人のマイケル・ザイダ教授が語ったところによると、アメリカ陸軍は現在、あるセンターを作っているそうである。そのセンターでは、娯楽産業が作り出す“バーチャル・リアリティー”及びビデオゲームと、軍の活動を結びつける試みが行われる予定になっている。
ザイダはすでに、そのセンターで行う計画について執筆したそうである。今のところ、そのプロジェクトには、「ロサンゼルス研究所」という仮の名称しかつけられていないが、陸軍はこのプロジェクトに資金を出す予定になっており、ハリウッドとビデオゲーム会社の方では、訓練と研究のためのスタッフを提供する予定になっている。
6月22日、ザイダ教授のインタビューが行われた。ザイダ教授によれば、その研究所は、南カリフォルニア大学に置かれるということである。
研究所は、1999年10月1日にスタートする予定になっている。しかし、正式な契約はまだ行われていないそうである。
というのは、リトルトンでつい先日大量虐殺が行われ、他にも、バーチャル・リアリティでゾンビ化した若者が、リトルトンのような非道行為を何件か起こしている。よって、両者とも、攻撃的な宣伝をされないように神経質になっているそうである。
ザイダは、「娯楽産業は“両用テクノロジー”と呼べるものを今後ますます生み出す必要がある」と語った。“両用”とは、「商業的エンターテインメントと、軍事の両方に使える」という意味である。
リトルトンで発砲したエリック・ハリスは、悪魔的なコンピューター・ビデオゲーム“ドゥーム(Doom)”に没頭していたが、これがその“両用”のいい例である。
ドゥームを製作したのは、ジョン・ロメロというプログラマーだが、彼はイギリス空軍で、コンピューターのシミュレーションの仕事をしていた経歴がある。このゲームには、長年に渡る軍事開発の成果が盛り込まれており、アメリカ海兵隊は、この“殺人訓練ゲーム”を、4人組の射撃チームの訓練に使っているそうである。
IDソフトウェアカンパニーは、“ SATAN.IDSOFTWARE.COM ”のウェブサイトにアクセスしてきた子供などに、ドゥームのサンプルを無料で貸し出している。
ザイダの話では、陸軍がハリウッドと共同研究所を作ろうという構想は、1997年の会議で持ち上がっている。その会議のテーマは、「モデリングとシミュレーション」で、会議の議長はザイダが務めた。後援は、国防総省の防衛モデリング&シミュレーション局(DMSO)であった。
その会議では、軍と民間の娯楽会社による協力が“未来の趨勢”として積極的に推進されていた(すなわち、“戦争が絶えず行われ、戦争がエンターテインメントである地獄の世界”である)。
ザイダが打ち明けてくれたところでは、DMSOは、その会議で発表されたレポートが気に入らず、そのプロジェクトを見送りにしたということである。しかし、陸軍科学委員会(陸軍のアドバイザーグループで、有力な民間アドバイザーからなる)は、熱心にそのアイデアに賛成し、計画を進めることを要求した。
科学委員会の中で、このプロジェクトに関わっている重要人物は、ウォルト・ディズニーの重役ブラン・フェレンである。フェレンは、ディズニーでバーチャル・リアリティのデザインを担当している。
フェレンはザイダに、「ディズニーから5名のスタッフをロサンゼルス研究所に提供し、ハリウッドと軍をつなごうと思っている」と言ったそうである。
ハリウッドは、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの執行副社長であるフェレンに対しては、以前から好意的である。
フェレンは、1987年にイギリスが映画化した悪魔的なミュージカル“リトルショップ・オブ・ホラーズ”で映像効果を担当し、オスカー賞にノミネートされた。彼は、いやらしい人食い植物を表現するのに、アフリカ系アメリカ人の特徴を持たせた(その怪物のような“ニグロ”は、最後には増殖させないために感電死させられる)。
フェレンが所属しているのは、陸軍の科学委員会だけではない。その他に、アメリカの国家安全保障局(アメリカのトップシークレット偵察部隊)の科学諮問委員会、上院情報特別委員会の技術諮問委員会、国家偵察会議の諮問会議にも所属している。
ザイダによれば、ハリウッドと軍は、ロサンゼルス研究所で、主に“没入法(集中教育の一種)”を共同研究する。それから、「いかに人間をバーチャル環境に没入させるか」、「コンピューターが生み出すキャラクターをどう開発するか」ということも主な研究テーマとなっている。
また、一度に数百人、数千人の兵士を、互いにオンラインでつなげるような巨大ネットワーク・シミュレーションの開発も行われる予定である。
ザイダの話では、ドイツ、スウェーデンなども同様のプロジェクトを作ろうとしており、ザイダに国外援助をしてほしいという要請が来たそうである。
ザイダは、デイブ・グロスマン中佐の仕事に対して、次のように言った。
「グロスマンは狂っている。彼はいつも嘘をついている。」
そして、「『ドゥームは邪悪だ』と言っていたが、まったく卑劣な態度だ!」と語調を強めた。リトルトンの虐殺以来、ザイダは報道陣に悩まされている。
「記者は、『エリック・ハリスは、ドゥームを使っていた。だからハリスは殺人を犯したのだ』と書きたいだけである。」
と、ザイダは言っている。
●「それは単に両親の問題だ」
ザイダの見解では、問題は両親にあり、「“完璧に優れた”ドゥームのようなゲームに問題があるのではない」ということである。
ザイダは、「私の息子が通っているハイスクールでは、男子生徒は全員ドゥームを使っている」と主張した。
ザイダは、「1960年代以降の若者文化は、多くの問題の原因にされてきたが、この手のゲームをそれと一緒にするのは間違いである」と述べている。
「最初は、『ロックは地獄への道だ』と非難された。次は『悪魔的ロックは地獄への道だ』と言われた。次はパンクロックで、今はドゥームになっている。」
ザイダは、マサチューセッツ大学でニューロサイバネティクス(神経人工頭脳学)を学んだ。現在は、バーチャル・リアリティの研究コースで、海軍の将校たちを相手に教鞭を取っている。
南カリフォルニア大学スポークスマン、ボブ・カルバーリーに、ロサンゼルス研究所の詳細について質問した。彼は驚いて、即座に「誰に聞いたんですか?」と問い返した。
カルバーリーは、「これはまだ発表されていない!」と何度も繰り返した。
「このプロジェクトは、いわば金で達成できるものではない。」
と、カルバーリーは率直に言った。
「この計画についてお話しするためには、管理者に許可を得る必要があります。」
もし、「子供たちを脳死の殺人者にするために、政府の金を使っている」と世論が大騒ぎすれば、このプロジェクトは明らかにつぶれるだろう。
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