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●ロシアが考える核兵器の使用
英米連邦寡頭権力は、いわゆる“自由主義的改革”を通じてロシアの生産経済を崩壊させ、ロシアの戦略的周辺部に沿って、地域紛争を主導している。彼らの意図は、徹底的な戦闘能力を失っているロシアに対して、残された唯一の選択肢である“核兵器の使用”に踏み切らせることである。
ここ数ヶ月の間、ロシアそのものから、ますます多くの声明や報告が発表されているが、それを見れば、この見解が正しかったことがしっかりと証明されている。
例えば、8月17日に、ロシアの軍事新聞『クラスナヤ・ズベズダ(赤い星)』に掲載された記事はその例である。
この記事は、戦略ロケット軍ウラジミール・ヤコブレフ将軍のインタビューである。ヤコブレフは、「戦略上の外的要因で、ロシアの核戦力の未来を決定するものは何か?」という質問に答えて、次のように列挙している。
「NATOの東方拡大。アメリカが世界のリーダーシップを取ることに関して強制的な承認がなされていること。国連が、世界の意志決定プロセスに対して持っていた影響力が減少したこと。NATOが、バルカン半島におけるロシアの国益を無視しようとしていること。ロシア連邦に隣接する“不安定ゾーン”が拡大していること(これは、コーカサス地方で起こっている紛争や、中央アジアの状況などに言及したものであることは明らかである)。
このすべては、我々の軍事組織における様々な機構の役割と、その具体的な活動手段という意味において、力点を置く場所の根本的な変化をもたらした。今日、大規模な戦争が、ロシアに対して開始されるという可能性は相当に減ってきた。
しかし、ロシアが地域紛争に引きずり込まれる可能性は、急激に増加していると言わねばならない。ところが、ロシアの経済状況は、軍事力を包括的に発展させるようなものではない。今日の状況において、極めて必要とされているのは、そのような条件であるにもかかわらず。」
『クラスナヤ・ズベズダ』のインタビュアーは、「それは、現在の状況下で、ロシアにおける核兵器の重要性が増しているということを意味しているのですか?」と質問している。ヤコブレフは、それに対して「そうだ」と答えている。
「核兵器の重要性が増していると同時に、いかなる程度の侵略も防ぐために、政治的手段を行使しようという方向に力点が変化している。……
これは、どんな軍事紛争の背後にも、またロシアの国益を侵害しようというどんな行為の背後にも、間違いなく世界の超大国アメリカが存在しているということを理解するならば、なおさらのことである。我々は、このような状況下にあっては、核の抑止力を誇示することなくして、適切な対応を示すことは困難である。」
●新型の核兵器
ロシアの高官と専門家は、これと似たような発言を最近行っている。このような発言は、「ロシアが、新しいタイプの核兵器を開発する決定を行った」という多くの報告に照らし合わせて判断しなければならない。
すでに今年の6月、中国の共産党機関紙『人民日報』は、ロシアのある軍事専門家の言葉を引用している。
それによると、最近、ロシアの国家安全保障会議の会議が行われた後、エリツィンは“非戦略的核兵器”の命令書にサインをしたそうである。
『人民日報』は、次のように書いている。
「軍事専門家たちは、『エリツィンは、一連の文書にサインをした』と発表した。
その専門家たちによれば、エリツィンが出した『非戦略核兵器を開発する』という命令は、実は、元原子力相で、核問題の専門家であるミハイロフが発表した“新型戦術核兵器開発計画”だということである。その目的は、限定核戦争を行うための準備である。……
報道によれば、ロシアは、NATOに対抗するために、小型と超小型の核兵器を1万発製造する計画を立てているということである。ロシアの原子力省は、『“核兵器は大量破壊兵器である”という概念は、修正する必要がある』と述べている。……
ロシアは、NATOの拡張には固く反対しており、アメリカが、ユーゴスラビアとイラクに対して武力を行使することにも強く反対している。……
もちろん、欧米諸国にとっては、ロシアが、ヨーロッパと北アメリカを全滅させる力をいまだに持っていることは明らかである。しかし、ロシアがそのような災難が、自らに降りかかるような事態を望んではいないということは、同様に明らかである。……
ロシアは、ユーゴスラビアやイラクのために、“核による自殺”をするつもりは全くない。
ロシアは、何十年にも渡って、莫大な資金をつぎ込み、多大な苦労をして、核兵器を大量に製造してきた。しかし、ロシアはそれを使うこともできず、核兵器は捨てられた無用の金属の山のようになっている。
ロシア原子力省が立てた計画は、このような状況を一変させるという意図を持っているのである。原子力省が用いている論理は、次のとおりである。
『もし我々が、核攻撃の可能性を実際に大きく高めることができれば、核の抑止力を一新することができる。そして、核兵器によるプレッシャーを維持することは、効果的な政策たり得るだろう。』
よって、ロシアは、小型と超小型の核弾頭を使って、地球上のどんな位置にある標的でも攻撃することができるはずである。しかも、そういう“精密攻撃”を行っても、大規模な核戦争は起こさないようにして。」
●秘密のプロジェクトが進行している
この『人民日報』の記事よりも後になされた報道には、『人民日報』の記事を裏付けるようなものが多い。それらは、その問題に関して、欧米で不安が高まっていることを示している。
例えば、9月1日の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』は、優れた記事を載せている。
その記事は、デビッド・ホフマンが、ロシアの退役軍人で核兵器の設計者である人物と8月29日に会った時のことが書かれている。
彼らは、ソ連の第1回核実験の50周年を祝うために、有名な“秘密研究都市”Arzamas-16で会った。祝賀会に出席することを許された欧米の記者たちは、祝賀会の参加者の間には、単に過去を懐かしむ以上のものがあることを発見した。
ホフマンは、次のように述べている。
「詳しいことは秘密のままだったが、兵器の設計者の一部には、新型の低核出力の戦術核兵器を作るという“やる気”が感じられた。……
ロシアには、アメリカがイラクとユーゴスラビアに使ったような高精密通常兵器が不足していたが、彼らの“やる気”は、それに対するロシアの反応というものだろう。」
ホフマンは、新しい戦略の主な提唱者である元原子力相V・N・ミハイロフの言葉を引用している。
「低核出力の新型核兵器は、世界にとっては、特別な重要性を持っている。……この兵器は、大規模な軍事紛争が起こった時には、実際に使うことが可能である。」
しかし、最も遠大で、最もはっきりしたショッキングな発言は、ミハイロフ自身の発言である(次の“資料”を参照)。
最後に強調しておかなければならないポイントがある。それは、「ロシアが計画している新型核兵器の開発は、通常の意味での戦術核弾頭に限定される」と考えるのは、重大な間違いだということである。
忘れてはならないのは、例えば、Arzamas-16は、ソ連が“指向性エネルギー兵器”を研究開発するための重要なセンターだったということである。そこでは、核エネルギーによる放射能強化・電磁パルス兵器などの新型兵器の開発も行われていた。
「“高性能”の精密誘導兵器は、軍事テクノロジーの切り札である」と考えている人は、ある種のうれしくない驚きを感じるに違いない。
●資料――ミハイロフの発言
以下の文章は、アカデミー会員で、元原子力相のV・N・ミハイロフが、『ネザビシモエ・ボエンノエ・オボズレニエ』(日刊紙『ネザビシマヤ・ガゼータ』の軍事版)の8月20-26日号に書いたものである。訳はFBISによるものである。
我々の核兵器は、最初の半世紀においては、輝かしく立派な存在であった。そして、我々の核兵器の歴史における第二の半世紀は、1999年8月下旬に始まった。そのスタートが、困難と曖昧さを伴ったものであったことを、我々がロシアに対して隠す権利は全くない。
一方、新型の通常精密兵器は、現在製造されつつある。
NATOの軍事と技術の概念は、オンボード・コンピューター・コンプレクス(スーパーコンピューター)の極めて高い能力に基づいて、超精密兵器を作り出すために必要とされる、拡張可能な通信インターフェイスの特別な基準の段階に入っている。そして、電子工学と金属科学におけるナノテクノロジーをマスターする段階になっている。
今日のこのような兵器は、反抗分子を罰するための兵器、21世紀の帝国の兵器となりつつあるのである!
他方、どの核保有国も、核兵器を廃絶しようとはしていない。
アメリカとフランスは、大規模な対策を取って、自国の核兵器“複合物”を近代化させようとしてきた。イギリスは、自国の軍隊を最大限に活用しており、中国は、この分野で活発に動いている。
世界には、新しい核保有国が登場しつつあり、政治情勢は、新たな不安定さをはらんでいる。その背景は、次のようなものである。
・科学と技術の進歩を基盤として、核兵器の開発と実験を行うために、様々な技術が開発されていっている。
・核実験場で、そんなに重要ではない実験がいろいろと行われている。
・核爆発や熱核爆発の過程の複雑なプロセスを、数学的にモデル化するためのスーパーコンピューターが存在している。
・強力なレーザー装置、X線装置、ガンマ線装置が存在している。
このすべては、21世紀のテクノロジーの土台である。また、核弾頭を極めて正確に標的に当てるという実用のために、超低核出力兵器を開発する“努力”の土台でもある。
母国の核防衛設備の考案者たちは、それほど休日気分でいるわけではない。多くのことは忘れられていない。しかし、未来のことを考えると、不安と警戒の気分が、通常兵器と核兵器の双方に対して湧いてくる。
その理由としては、――この問題の概念的側面は、あまりにも明らかなのだが――ロシアの軍隊と核兵器の複合体は、ロシアがこの地球の複雑な未来を静観するために必要とされるものとは、かけ離れているからである。
ここ10年間、ロシアは、国民と国家の存在に対する数々の深刻な脅威に直面してきた。GNPは半分に減った。科学、教育、工業の最もハイテクの部門は、深く落ち込んでいる。数十年に渡って追求されてきた国家無神論の政策と、ロシアの伝統的な価値の崩壊は、方向の喪失を生み、精神的な危機と道徳の衰退をもたらした。
今日、軍事以外の分野で、数々の大きな脅威が存在している。それは、経済、情報、文化面での圧力である。
そして、NATOの東方拡大と、ロシアと独立国家共同体に隣接している他の地域の状況は、我々全員の中に、深い心配を生み出している。
「21世紀は、戦いの一種である」と予測されている。それは、宗教的要因による、文明のイデオロギー体系という種類のものではあまりない。この“戦い”は、地球の資源が限られているということにより悪化していっている。
ロシアが現在陥っている危機的状況は、深くて多面的であり、本質的に長期的である。そして、ロシアと独立国家共同体には、外的な脅威に対する信頼できる防御手段が常になければならないのである。
我々の軍隊は非常に弱くなっているので、今の状況においては、多大な労力と犠牲を払ってすでに作られている核兵器だけが、“唯一の効果的な防衛手段”であり、国家の安全を保証するものである。この核兵器によって、あらゆる近代的な通常兵器システムの戦闘の特質を弱めることができるのである。
次のことは、特に指摘しておかなければならない。
それは、ソ連が解体し、ロシアを運営していくために、根本的に新しい機構を作ったという大変な状況にあって、我々は、その中で浮上してくるあらゆる種類の緊急事態を防ぐために、核兵器の複合体を何とか保持してきたということである。そして、古い権力構造がなくなったという状況の下で、“核の安全”を保証してきたのである。
今日、ロシア連邦には、他に類を見ないような核兵器企業体、核兵器技術、核兵器産業が存在している。そして、その技術の質という点では、我々の核兵器システムは、現代の世界のどこの国にも劣らないと自信を持って断言できる。
現在、我々の専門家たちは、非常に苦しい経済条件のもとで、核兵器を保存し、近代化するという重要な問題を解決しようとしている。それは、ロシアの安全を保証するためである。
環境にあまり影響を与えないようにして、新型の超低核出力の核兵器を作るということは、世界にとっては非常に重要である。そして、そのような兵器が、大規模な軍事紛争が現実に起こった時に使われるかもしれないということは、明快な事実である。
その時には、通常兵器や大量破壊兵器も使われるだろう。国は破壊され、国民の生活状況は、相当に悪化するだろう。我々は、このような未来技術の課題というものに、適切に対応しなくてはならない。
また、核兵器の問題は、依然として、ロシアの一般国民が知ることのできる範囲外にあることが多いが、これも問題である。良くても、その周辺部に登場するくらいである。
しかし、ロシアの核兵器は、最も注意深く、関心を持って、国民全体が建設的な態度を取るに値する問題である。
ロシアの国家利益を保証するという、核の軍事・政治的見地の重要性を認識することは、ロシアの共通の綱領とならなければならない。それは、1人の為政者によって、拒絶されるようなものであってはならない。
この発言には、軍事的なニュアンスは含まれてはいない。むしろ、ロシアの地政学上の経験のすべてが背後に存在している。
同じ国民であっても、時代によって、また社会的階層によって、その利益は違っていたかもしれないし、また実際に違っていた。そして、お互いに矛盾するようなものでさえあったかもしれないし、実際にそうであった。
しかし、ロシアの防衛上の利益は、我々の母国では、どんな時代であっても、何らかの形で、すべての人に理解されていたのである。
核兵器は、開発されはしたが、1945年8月以来、1回も使われたことのない唯一の兵器である。よって同様に、核兵器は、実際に使われるという権利は持っていない。その代わりに、世界の抑止的存在になるという権利は持っている。
我々は、このゆえに、ロシアの核兵器複合体を保存し、今日では、21世紀の新しいテクノロジーを作るという課題を受け入れた。そして、その場合にのみ、広島と長崎への攻撃が、「人類の歴史における最後の世界大戦で行われた、最初で最後の核攻撃」となるのである。
厳密に言えば、原子力についての我々の問題が、大戦の傷で覆われた国で解決されたのは、この目的のためであった。この目的のために、優れた数多くの知識人が生き、そして新しきものを創造した。
そして、この目的のために、1949年8月の朝に、セミパラチンスク(※カザフスタンの都市)の核実験場の地面は震動したのである。
すでにその時から、半世紀も経っている。しかし、この先駆者たちを動かした感情と熱望は、まだ生きており、衰えてはいない。その感情と熱望は、次のように定式化することができる。
「ロシアのため、そして世界のすべての国民のための平和であり、静けさであり、繁栄である。」
イタル・タス通信によれば、9月8日、ロシア国家会議防衛政策委員会の委員長であるローマン・ポポビッチは、モスクワで次のような発言を行った。
「ロシアは、取り外しのできる弾頭のついた新型ミサイルの生産を開始するための技術と可能性を持っている。
アメリカは、1972年のABM条約からは事実上脱退した。ロシアは、アメリカが新たな迎撃ミサイル防衛システムを作ることに対処し、完全に新しいタイプの攻撃用兵器を開発すべきである。それは、Topol-Mクラスの大陸間弾道ミサイルではない。……アメリカに金を浪費させよ。」
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